建設業の経営状況分析をご検討の皆様へ

財務諸表を作成する前に/消費税の処理方法

免税事業者か課税事業者かで消費税の処理が異なります。

消費税および地方消費税に相当する額の会計処理の方法は、
 免税事業者様は、『税込方式』で作成します。
 課税事業者様は、『税抜方式』で作成します。
  課税事業者様で、決算報告書が『消費税込み』で作成されている場合、
  消費税抜きの金額に訂正して財務諸表を作成して頂く必要が生じます。
  課税事業者様は、消費税抜きの決算報告書を作成されることをお勧めします。
財務諸表の消費税処理について、必ず注記表または申請補足表に記載して下さい。

『消費税込み』の決算報告書から、『消費税抜き』の財務諸表を作成する方法

  1. 貸借対照表を税抜き処理に修正しようとすると処理が煩雑になるため、簡易的に損益計算書算書・完成工事原価報告書(兼業原価が有る場合は兼業事業売上原価報告書も)のみを税抜き処理して作成します。

  2. 損益計算書の課税科目を消費税抜きの金額に直したうえで消費税額を計算します。
    計算した差額を『消費税差額』として営業外収益のその他もしくは営業外費用のその他に計上し、経常利益を 決算報告書の金額と一致させます。
    消費税を租税公課で処理されている場合は、その金額分のみ租税公課で調整できます。

(注)販売費及び一般管理費の中の消費税を含まない科目の例
   以下の科目は消費税処理を行いません。
    役員報酬・従業員給与手当・退職金・法定福利費・貸倒引当金繰入額・貸倒損失・寄付金・減価償却費・
    試験研究費償却・開発費償却・租税公課・保険料

財務諸表の作り方・注意点 個人用

財務諸表全般に関わる注意事項

1. 財務諸表の様式
  建設業法施工規則別記様式18号 貸借対照表
  建設業法施工規則別記様式19号 損益計算書
  建設業法施工規則別記様式25号の9兼業事業売上原価報告書(兼業事業売上原価が有る場合)

2. 勘定科目
  財務諸表は、「建設業法施行規則別記様式第15号及び第16号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類を定める件」にしたがって作成して下さい。
  参考:科目に関する注意事項、間違いやすい科目についてもご覧ください。

3. 消費税等の会計処理
  消費税および地方消費税に相当する額の会計処理は、
  課税事業者様は、『税抜方式』で作成し、その旨貸借対照表の注に記載して下さい。
  免税事業者様は『税込方式』で作成し、貸借対照表の注に「免税事業者につき税込」と記載して下さい。
  または、申請補足表の対象箇所にチェックして、提出して下さい。
    参考:財務諸表を作成する前に/消費税の処理方法をご覧ください。

4. 金額の単位と端数処理
  財務諸表の金額単位の表示は、
  千円未満を切り捨て/千円未満を切り上げ/千円未満を四捨五入のいずれかの方法で端数処理した金額を千円単位で記載して下さい。
  合計金額は、各科目の端数処理後の金額を合計して記載するのではなく、円単位の合計金額を端数処理して記載して下さい。

5. 財務諸表の金額の一致
  下記項目の金額は必ず一致しなければなりません。

  • 貸借対照表の「資産合計」と「負債純資産合計」
  • 貸借対照表と損益計算書の「事業主利益(事業主損失)」
  • 貸借対照表の「期首資本金」と前期の「純資産合計」
  • 損益計算書の「兼業事業売上原価」と兼業事業売上原価報告書の「兼業事業売上原価」(兼業事業売上原価がある場合)
  • 兼業事業売上原価報告書の3行目と最終行の「当期製品製造原価」(兼業事業売上原価がある場合)

6. 受取手形割引高及び受取手形裏書譲渡高
  受取手形割引高および受取手形裏書譲渡高については、貸借対照表の注にそれぞれ「○○○千円」(ない場合は「なし」)と記載して下さい。
  または、申請補足表にご記入の上、提出して下さい。

貸借対照表に関する注意事項

  1. 流動資産
    ・完成工事未収入金,売掛金,未収入金
     青色申告決算書の科目名にかかわらず、以下の科目で計上して下さい。
      完成工事高に係るもの:完成工事未収入金
      兼業事業売上高に係るもの:売掛金
      どちらにも該当しないもの:未収入金

    ・未成工事支出金、材料貯蔵品、販売用資産
     仕掛品について   建設工事に係るもの:未成工事支出金
               兼業事業に係るもの:兼業事業支出金として計上して下さい。
     原材料、貯蔵品、商品、販売用不動産土地 等について
               建設工事に係るもの:材料貯蔵品
               兼業事業に係るもの:販売用資産として計上して下さい。
    ※「たな卸資産」での計上はできません。

    ・短期貸付金
     決算期後1年以内に返済されると認められるものを計上します。
     履行期が決算日の翌日から起算して1年を超えるものは、固定資産のその他固定資産に計上して下さい。

    ・仮払金,立替金,未収入金
     決算期後1年以内に精算または回収されると認められるものを計上します。
     精算や回収に1年以上かかる場合は、固定資産のその他固定資産に計上して下さい。

    ・保険積立金
     満期日が1年を超えるものは、固定資産のその他固定資産に計上して下さい。

    ・その他流動資産
     「資産合計」の5%を超える金額は、「その他流動資産」に含めず勘定科目を明示して記載して下さい。

    ・貸倒引当金
     青色申告決算書で、負債の部に『貸倒引当金』が計上されている場合、財務諸表では流動資産の『貸倒引当金』にマイナス計上します。

    ・青色申告決算書の『事業主貸勘定』
     財務諸表では、純資産の部にマイナス計上します。

  2. 固定資産
    ・その他固定資産
     長期保証金等1年を超える債権、出資金(関係会社に対するものを除く)等を計上して下さい。(長期貸付金、長期の未収入金、仮払金、立替金など)

  3. 流動負債
    ・工事未払金,買掛金,未払金
     青色申告決算書の科目名にかかわらず、以下の科目で計上して下さい。
      建設工事に係るもの:工事未払金
      兼業事業に係るもの:兼業事業未払金または買掛金
      どちらにも該当しないもの:未払金

    ・短期借入金
     短期借入金は、1年以内に返済されるものおよび当座借越額を含みます。親族等からの借入で無利息のものであっても借入金となりますので短期借入金に含めて計上して下さい。

    ・未成工事受入金
     建設工事に係るもの:未成工事受入金
     兼業事業に係るもの:兼業事業受入金
     どちらにも該当しないもの:前受金

    ・その他流動負債
     「負債純資産合計」の5%を超える金額は、「その他流動負債」に含めず、勘定科目を明示して記載して下さい。

  4. 固定負債
    ・長期借入金
     長期借入金のうち1年以内に返済されるものは短期借入金に含めて計上します。
     親族等からの借入で無利息のものであっても借入金となりますので長期借入金に含めて計上して下さい。

    ・その他固定負債
     「負債純資産合計」の5%を超える金額は、「その他固定負債」に含めず、勘定科目を明示して記載して下さい。

  5. 純資産の部
    ・期首資本金 前期財務諸表の「純資産合計」を計上して下さい。
    ・事業主利益(事業主損失) 損益計算書の事業主利益(事業主損失)と一致します。

損益計算書に関する注意事項

  1. 売上高
    ・完成工事高
     建設工事に係る売上高を計上します。設計料,リース料,資材売却益等は該当しません。
     雑収入は、「その他営業外収益」に計上します。

    ・兼業事業売上高
     「業」として営んでいない場合の収入は、内容に応じて「その他営業外収益」に計上して下さい。

  2. 売上原価
    ・労務費
     工事現場に従事する従業員の給料・手当を計上します。
    ・労務費の中の(うち労務外注費)
     該当しない場合は「0」と記入して下さい。
    兼業事業売上原価
     兼業事業売上原価が有る場合は、兼業事業売上原価報告書を作成・提出して下さい。

  3. 販売費及び一般管理費
    ・従業員給料手当
     青色申告決算書 損益計算書『専従者給与』はこちらに計上します。

  4. 営業外収益
    ・その他営業外収益
     青色申告決算書 2ページ『月別売上(収入)金額及び仕入金額』に記載の『雑収入』は、売上には含めず、こちらに計上します。

  5. 営業外費用
    ・支払利息
     青色申告決算書 損益計算書『利子割引料』はこちらに計上します。

財務諸表の作り方・注意点 法人用

財務諸表全般に関わる注意事項

  1. 財務諸表の様式
     建設業法施工規則別記様式15号   貸借対照表
               様式16号   損益計算書
                         完成工事原価報告書
               様式17号   株主資本等変動計算書
               様式17号の2  注記表
               様式25号の9  兼業事業売上原価報告書(兼業事業売上原価が有る場合)


  2. 勘定科目
    財務諸表は、「建設業法施行規則別記様式第15号及び第16号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類を定める件」にしたがって作成して下さい。
     参考:科目に関する注意事項、間違いやすい科目について

  3. 消費税等の会計処理
    消費税および地方消費税に相当する額の会計処理の方法は、課税事業者様は、『税抜方式』で作成し、その旨 様式第十七号の二注記表2(5)に記載して下さい。
    免税事業者様は『税込方式』で作成し、「免税事業者につき税込」と記載して下さい。
      参考:財務諸表を作成する前に/消費税の処理方法
    注記表に記載されていない場合は、申請補足表にご記入の上、提出して下さい。

  4. 金額の単位と端数処理
    財務諸表の金額単位の表示は、千円未満を切り捨て/千円未満を切り上げ/千円未満を四捨五入のいずれかの方法で端数処理した金額を 千円単位で記載して下さい。
    合計金額は、各科目の端数処理後の金額を合計して記載するのではなく、円単位の合計金額を端数処理して記載して下さい。

  5. 財務諸表の金額の一致
    下記項目の金額は必ず一致しなければなりません。
    貸借対照表の「資産合計」と「負債純資産合計」
    貸借対照表の「純資産の部」の各科目 と株主資本等変動計算書の「当期末残高」の各科目
    損益計算書と株主資本等変動計算書の「当期純利益(当期純損失)」
    損益計算書の「完成工事原価」と完成工事原価報告書の「完成工事原価」
    損益計算書の「兼業事業売上原価」と兼業事業売上原価報告書の「兼業事業売上原価」(兼業事業売上原価がある場合)
    兼業事業売上原価報告書の3行目と最終行の「当期製品製造原価」(兼業事業売上原価がある場合)

  6. 受取手形割引高及び受取手形裏書譲渡高
    受取手形割引高および受取手形裏書譲渡高については、様式第十七号の二注記表7(2)にそれぞれ「○○○千円」(ない場合は「なし」)と記載して下さい。
    注記表に記載されていない場合は、申請補足表にご記入の上、提出して下さい。

科目に関する注意事項

貸借対照表

  1. 流動資産
    ・現金預金
     当座借越(当座預金がマイナス)は他の預金と相殺せず、流動負債の「短期借入金」として計上して下さい。

    ・受取手形
     1年以内に回収できないことが明らかな「不渡手形」は計上できません。固定資産の投資その他の資産の「破産更生債権等」に計上して下さい。

    ・完成工事未収入金,売掛金,未収入金
     税務申告の決算報告書の科目名にかかわらず、以下の科目で計上して下さい。
      完成工事高に係るもの:完成工事未収入金
      兼業事業売上高に係るもの:売掛金
      どちらにも該当しないもの:未収入金

    ・未成工事支出金、材料貯蔵品、販売用資産
     仕掛品について   建設工事に係るもの:未成工事支出金
               兼業事業に係るもの:兼業事業支出金として計上して下さい。  
     原材料、貯蔵品、商品、販売用不動産土地 等について
               建設工事に係るもの:材料貯蔵品
               兼業事業に係るもの:販売用資産として計上して下さい。
    ※「たな卸資産」での計上はできません。

    ・短期貸付金
     決算期後1年以内に返済されると認められるものを計上します。
     履行期が決算日の翌日から起算して1年を超えるものは、固定資産の投資その他の資産の「長期貸付金」として計上して下さい(代表者勘定も同様です)。

    ・仮払消費税
     流動負債の「仮受消費税」と相殺し、「仮払消費税」が多いときは「未収消費税」、「仮受消費税」が多いときは「未払消費税」として計上して下さい。

    ・仮払税金
     仮払税金は期末に精算しなければならず、納付した「法人税、住民税及び事業税」を仮払税金として計上することはできません。損益計算書の「法人税,住民税及び事業税」に計上して精算して下さい。中間納付の還付に関しては、「未収税金」と記載下さい。

    ・仮払金,立替金,未収入金
     決算期後1年以内に精算または回収されると認められるものを計上します。
     精算や回収に1年以上かかる場合は、固定資産の投資その他の資産に計上して下さい。

    ・繰延税金資産
     税効果会計を採用していない場合は記載しないで下さい。「未収消費税」等の額を記載しないで下さい。

    ・保険積立金
     満期日が1年を超えるものは、固定資産の投資その他の資産の「その他」に計上して下さい。

    ・その他流動資産
     「資産合計」の5%を超える金額は、「その他」に含めず勘定科目を明示して記載して下さい。

  2. 固定資産
    ・破産更生債権等
     完成工事未収入金、受取手形等の営業債権および貸付金,立替金等のその他の債権のうち破産債権、再生債権、更生債権その他これらに準ずる債権で決算期後1年以内に弁済を受けられないことが明らかなものを計上して下さい。

    ・その他投資等
     長期保証金等1年を超える債権、出資金(関係会社に対するものを除く)等他の投資その他の資産科目に属さないものを計上して下さい。

  3. 繰延資産
    創立費,開業費,株式交付費,社債発行費,開発費(ソフトウェア開発費は除く)の5項目のみ計上できます。これらに該当しないものは、無形固定資産 または 投資その他の資産に計上して下さい。

  4. 流動負債
    ・工事未払金,買掛金,未払金
     税務申告の決算報告書の科目名にかかわらず、以下の科目で計上して下さい。
     建設工事に係るもの:工事未払金
     兼業事業に係るもの:兼業事業未払金または買掛金
     どちらにも該当しないもの:未払金

    ・短期借入金
     短期借入金は、1年以内に返済されるものおよび当座借越額を含みます。借入先が代表者や役員等で無利息のものであっても借入金となりますので短期借入金に含めて計上して下さい。

    ・未払法人税等
     当期に確定した税額を必ず計上して下さい。
     [仕訳] 法人税,住民税及び事業税 ○○○ (損益計算書)
              /   未払法人税等 ○○○ ( 流動負債 )
     未払消費税はここに合算せず、科目を立ててください。

    ・繰延税金負債
     税効果会計を採用していない場合は記載しないで下さい。
     「未払消費税」等の額を記載しないで下さい。

    ・未成工事受入金
     建設工事に係るもの:未成工事受入金
     兼業事業に係るもの:兼業事業受入金
     どちらにも該当しないもの:前受金

    ・仮受消費税
     流動資産の「仮払消費税」の処理にしたがって下さい。

    ・貸倒引当金
     負債の部で計上している場合は、流動資産または投資その他の資産の「貸倒引当金」に振り替えて下さい。

    ・割引手形,裏書譲渡手形
     流動資産の「受取手形」と相殺し、注記表に各々記載して下さい。
     注記表に記載されない場合は、申請補足表にご記入の上、提出下さい。

    ・その他流動負債
     「負債純資産合計」の5%を超える金額は、「その他」に含めず、勘定科目を明示して記載して下さい。

  5. 固定負債
    ・長期借入金
     長期借入金のうち1年以内に返済されるものは短期借入金に含めて計上します。
     借入先が代表者や役員等で無利息のものであっても借入金となりますので長期借入金に含めて計上して下さい。

    ・その他固定負債
     「負債純資産合計」の5%を超える金額は、「その他」に含めず、勘定科目を明示して記載して下さい。

  6. 純資産の部
    純資産の部の各科目は、株主資本等変動計算書『当期末残高』の各科目と、一致させます。

損益計算書

  1. 売上高
    ・完成工事高
     建設工事に係る売上高を計上します。
     コンサルタント収入,設計料,リース料,資材売却益等は該当しません。

    ・兼業事業売上高
     「業」として営んでいない場合の収入は、内容に応じて「その他営業外収益」または「その他特別利益」に計上して下さい。

  2. 販売費及び一般管理費
    ・従業員給料手当
     本店および支店の従業員等に対する給料、諸手当および賞与(賞与引当金繰入額を含む)を計上して下さい。工事現場に従事する従業員の給料・手当は、完成工事原価報告書の「経費(うち人件費)」に計上して下さい。

    ・退職金
     役員および従業員に対する退職金(退職年金掛金を含む)を計上して下さい。(ただし異常なものを除く)

    ・貸倒引当金繰入額
     営業取引により発生した受取手形,完成工事未収入金等の債権に対する貸倒引当金繰入額を計上して下さい。

    ・貸倒損失
     営業取引により発生した受取手形,完成工事未収入金等の債権に対する貸倒損失を計上して下さい。

  3. 営業外費用
    ・支払利息
     手形売却損(手形割引料)は、含まれません。「その他」に計上して下さい。

    ・貸倒引当金繰入額
     営業取引以外により発生した受取手形,貸付金等の債権に対する貸倒引当金繰入額を計上して下さい。

  4. 特別利益
    ・前期損益修正益
     前期の貸倒引当金,賞与引当金,完成工事補償引当金等の戻入益等を計上して下さい。

    ・その他特別利益
     固定資産の売却益,多額の保険解約金,保険金収入,満期返戻金等を計上して下さい。

  5. 法人税、住民税及び事業税
    法人税,住民税と利益に関する金額を課税標準として課される事業税を計上して下さい。また、法人税等の更正,決定等による追加納付や還付があった場合もここに含めて計上して下さい。赤字の場合でも、法人住民税の均等割額を計上して下さい。
    当該科目の金額が0で「租税公課」で処理されている場合は、租税公課より控除して、税引前当期利益の後の「法人税、住民税及び事業税」欄に記入して下さい。

  6. 法人税等調整額
    税効果会計を採用していない場合は記載しないで下さい。
    なお、税効果会計適用初年度に「過年度税効果調整額」が発生した時は、ここに含めないで株主資本等変動計算書に計上して下さい。

完成工事原価報告書

  ・労務費(うち労務外注費)/経費(うち人件費)
   該当しない場合は「0」と記入して下さい。
  ・仕掛工事について
   税務申告の決算報告書に『期首仕掛工事』,『期末仕掛工事』が計上されている場合でも
   「期首仕掛工事」,「期末仕掛工事」として計上することはできません。
   必ず、材料費,労務費,外注費,経費に分類してそれぞれに加・減算して下さい。

株主資本等変動計算書

  『当期首残高』の各科目は、前期の株主資本等変動計算書の『当期末残高』を引き継ぎます。
  『当期末残高』の各科目は、今期の純資産の部の各科目と一致させます。

間違いやすい科目について

以下の科目は、間違いの多い科目であり、分析に当たり内容確認のうえ訂正が発生することが多い内容です。ご注意ください。

繰延税金資産(流動資産、投資その他の資産)
繰延税金負債(流動負債、固定負債)
法人税等調整額(損益計算書)

 ○これらの科目は『税効果会計』という経理処理を採用している場合にしか発生しない科目です。
 ○間違い例:
   流動資産の繰延税金資産に 未収税金等を記載している
   投資その他の資産の繰延税金資産に 繰延資産(後述)を記載している
   流動負債の繰延税金負債に 未払消費税を記載している
   損益計算書の法人税等調整額に 
          過年度の法人税を記載している
          還付額を記載している
          決算報告書の記載が『法人税等』となっているため『法人税等調整額』だと思って記載している
          →いずれも『法人税住民税及び事業税』に合算して下さい。

繰延資産
 ○建設業の財務諸表では、『創立費』、『開業費』、『株式交付費』、『社債発行費』、『開発費』の5項目しか計上出来ません。 
  決算報告書では、税法上の繰延資産が計上されることがありますが、税法上の繰延資産は、
  内容によって無形固定資産その他や投資その他の資産その他へ計上します。
 ○税法上の繰延資産 加入金、加盟金、権利金、負担金等

未払法人税等(流動負債)
 ○その期に確定した税額を計上する必要があります。そのため 計上が無い場合
  内容確認と訂正が発生することがあります。
 ○間違い例:未払法人税等、納税充当金を 科目を立てずその他に含めている。
       未払消費税を未払法人税等に記載している。
       →未払消費税は未払法人税等に合算せず、科目を計上して下さい。

借入金(短期借入金・長期借入金)
  金融機関等からの借入金の他、代表者・役員・親族からの借り入れで無利息であっても借入金となります。借入金に合算するか 『役員借入金』等の科目名で計上して下さい。

建設業特有の科目について
 ○建設業様式の財務諸表においては、建設業特有の科目があり 内容によって該当する科目名に変更する必要があります。

 完成工事未収入金/売掛金/未収入金
  決算報告書では、売掛金、未収入金として記載されていることがありますが、内容によって科目と金額を分けて記載します。
   完成工事未収入金:完成工事高に計上した 工事に係る請負代金の未収額
   売掛金     :兼業事業売上高に計上した 請負代金の未収額
   未収入金    :上記いずれにも該当しないもの

 未成工事支出金/兼業事業支出金
  決算報告書 仕掛品について 内容によって科目と金額を分けて記載します。
   未成工事支出金 : 建設工事に係るもの
   兼業事業支出金 : 兼業事業に係るもの

 材料貯蔵品/販売用資産
  上記同様 原材料、貯蔵品、商品、販売用不動産等を内容によって分けます。
   材料貯蔵品 :建設工事に係るもの
   販売用資産 :兼業事業に係るもの
  ※『たな卸資産』での計上は出来ません。
  訂正が必要となりますので、必ず科目を特定して下さい。

 工事未払金/買掛金/未払金
  決算報告書では、買掛金、未払金として記載されていることがありますが、内容によって科目と金額を分けて記載します。
   工事未払金:工事費の未払額(工事原価に算入されるべき材料貯蔵品の購入代金等を含む)
   買掛金  :兼業事業費の未払額
   未払金  :上記いずれにも該当しないもの

 未成工事受入金/兼業事業受入金/前受金
  決算報告書では、前受金として記載されていることがありますが、内容によって科目と金額を分けて記載します。
   未成工事受入金 :仕掛工事の前受金・中間金等
   兼業事業受入金 :兼業事業の前受金等

   前受金     :上記いずれにも該当しないもの




減価償却実施額
 ○経営状況分析申請書 項番18,19に記載する『減価償却実施額』について

  財務諸表に「有形固定資産」もしくは「無形固定資産」として記載され、『減価償却費』として費用計上されている償却額のことを指します。

 確認書類
  税務申告書の別表16(1)、16(2)等 もしくはそれに代わる減価償却実施額の明細書等の提出が求められます。
  なお、リース資産、一括償却資産、少額減価償却資産で減価償却費として費用計上されている場合は、その確認書類(別表16(4),(7),(8)等)   も必要です。
  繰延資産であるもの、消耗品等で処理されたものは 含めることが出来ません。

 端数処理
  経営状況分析申請書 項番18,19に記載する『減価償却実施額』は、千円単位で記載し端数処理は千円未満切り捨てと定められています。
  確認書類が複数ある場合は、それぞれの償却額を一円単位で合計し、合計金額の千円未満を切捨てた数字を記載します。

事務所概要

事務所名田嶋税理士事務所
所長名田嶋晶子
所在地〒850-0025
長崎県長崎市今博多町22番地 熊本ビル2F
電話番号095-825-9522
FAX番号095-825-9528
業務内容
・創業・独立の支援
・税務・会計・決算に関する業務
・税務申告書への書面添付
・自計化システムの導入支援
・経営計画の策定支援
・資産譲渡・贈与・相続の事前対策と納税申告書の作成
・事業承継対策
・税務調査の立会い
・保険指導
・経営相談等
田嶋税理士事務所は
TKC全国会会員です
TKC全国会
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。

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